5月26日配信のメルマガ、『日米「同盟」の危険な一面』(https://itsuro-soga.com/2021/05/26/)に、中川賢俊さんからご意見を頂きました。
* * * * *
曽我逸郎様
信毎のこの記事は私も読みました。
日米関係の本質を顕在化する記事ですね。
米国が核兵器を使用するかどうかも重大な問題ですが
現実問題としてはここに見られる日米関係が
さらに一層強化されてしまったことも喫緊の問題です。
曽我さんが書かれているように
「米国本土への核攻撃を分散させ、薄めることができる」
ことからさらに進んで
「米国を守る盾として、米軍の先兵として武力を行使する」
ようになると考えます。
その根拠は
・沖縄の頑強な反対と様々な弊害があるにも拘らず辺野古新基地建設をすすめ
・ここにきて表面化された琉球弧へのこれも強権的なん自衛隊基地建設の推進
・そして米国の言うがままの最新兵器の購入。
これらのことを総合すると日本国の安全保障は
「米国に隷従した武力による保障」へと完全にシフトしたとしか思えません。
事態がここまで進行しているのに
「よくよく検討して対応せねばならない」
「日米安保を即刻終了せよ、と言っているわけではない」
と万人受けする姿勢を続けていて、この進行を阻止できるでしょうか?
「本気の外交努力」の具体的内容を示していただかないと
政治家としての曽我さんにも、立憲民主党にも
いまひとつ信が置けないと不安になるのは
私一人ではないと心配です。
中川拝
* * そがからの返事 * *
ご意見ありがとうございます。
まず「万人受けする姿勢」と書いておられますが、わたしは自分は、「ほとんどの人に受けない姿勢」だと思っています。現に中川さんの共感は頂けなかったのですから。
安全保障に関しては、極端な主張が、万人ではなく一部の人たちから強い支持を獲得しがちです。
いわく、「日米安保は即刻廃止。自衛隊を解散せよ。非武装中立全方位外交を貫け!」
いわく、「中国・北朝鮮の脅威という現実を直視し、日米同盟をすみやかに深化、米軍と緊密に連携し、軍事力で両国を封じ込め、解体せよ!」
しかし、これらはどちらも危険な考えです。
後者は、しばしば「現実主義」を標榜しますが、現実をさらに悪化させる「現実」主義であり、威勢のいい受け狙いにすぎず、戦争の現実を忘れた「平和ボケ」の議論です。
わたしの考えの方向性は、言うまでもなく前者です。しかし、それは、日本が突出して独断専行するのではなく、世界の全体がその方向に向かうようにしていくのでなければなりません。
メルマガでは書くかどうか迷ったものの冗長を避けるために割愛した部分を説明する機会を頂いたこと、感謝します。
拙速な非武装中立論がなぜ危険か?
それは、「仮想敵国」が攻めてくるからではありません。主権者・国民が不安に耐えられないのではないか、と心配するからです。
人は皆、弱い凡夫です。すなわち、主権者・国民は、安全に平和に暮らしたいと願っています。「今の平安が脅かされるぞ。生命・財産が危険に晒されてるぞ。」こういう囁きには、人はすぐに過剰反応してしまいます。そこに付け入るのが、武力対立で利益を得ている連中です。こういう連中は、必ずプロパガンダを仕掛けてきます。主権者・国民は、弱い凡夫であり、つけ込まれて操られかねません。結果として、願いとは逆に、緊張関係を激化しさらに不安を高める悪循環に陥ってしまいます。
主権者・国民がプロパガンダに唆されて不安を抱かない程度の、同時に、諸外国が「脅威が高まった。対抗せねば」と感じない程度の軍事力・日米安保を当面は維持しながら、じっくりと憲法前文が掲げる理想の世界を目指すしかないと考えます。
その意味で、日米「同盟」の深化・強化には反対します。日本を使える「同盟」国(≒手下)にして使いたい米国の働きかけにはグズグズと時間稼ぎをしながら、世界に向けて「軍事費に予算を費やすより、国民が不安なく暮らせるようにすることにお金を使うほうが世界人類の利益になる」というあたりまえの共通認識をじっくりと熟成していく他ありません。個々の紛争にこの考えでコミットしていくのです。
とうぜん、今の貧弱な政治力・外交力を、この目論見に取り組むことのできるレベルに高める時間も必要になります。
「小さな地球で限られたリソースを相互不信の対立に浪費するのは愚かだ。協力し合ってすべてのリソースをすべての人が苦を免れるように使おう」という考えを、世界が共有する常識にすべきです。今武力対立しているさまざまな勢力に向けて、オープンに世界世論からみえる形で働きかけて、世界世論を変えようと頑張る、というのが、「本気の外交努力」です。
世界の現状から(突出するのではなく)半歩先んじて進みながら、武力大国も含めた世界全体に「武力にものをいわそうとするのは恥ずかしいことだ」と思わせたいと思います。
2021,5,30 #そが逸郎立憲民主党長野5区総支部長
* * * * *
『そが逸郎通信』の配信ご希望の方は、メアドをお知らせください。