ベーシックインカム (現金給付と現物給付 財源)

 先日、伊那市での意見交換の集まりで、教育の現状について鋭い問題提起をして下さった方からメールを頂戴しました。

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曾我様

こんばんは。本日伊那市福島で直接お話させて頂き、ありがとうございました。

教育について話題を出させて頂きました。

ぜひ、子どもの権利条約、教育機会確保法などの周知への、積極的な取り組みをお願いします!

コロナで、話題になってきているベーシックインカムですが、以前から気になっていましたが、竹中平蔵も絡んでいると知り、これはマズイ、かなり注意が必要だと思いました。

曾我さんも、そこは指摘されておりましたね。

ベーシックインカム、しかし、子どもの立場から考えると、現金が支給されても、自分の自由にできませんし、親が子どものためにきちんと使ってくれるかわかりません。

お年寄りや障害者の方々も同様でしょう。

その分、教育や福祉が切り捨てられたら、医療が10割負担になったら生きていけません。

一方、ベーシックサービスという考えがあると最近知りました。

慶大の井手英策教授が提案しているものを見つけました。

ただ現金を支給するより、はるかに安心してみんなが生きていけるのではないでしょうか?

どう思われますか?

それから、米国公民権運動のきっかけを作ったローザ•パークスさんのことは、「ローザ」という素晴らしい絵本になっています。

とみちゃん 伊那市    (2021,7,10)

* * * そが逸郎より * * *

とみちゃん様

ご意見いただき、ありがとうございます。また、先日の有意義で楽しい議論にも御礼申し上げます。

◆ 子どもへのベーシック・インカム

 この件は、BI推進論者でも、まだ意見はまとまっていないと思います。生まれたらすぐ大人と同額の給付を始めるという考えも可能ですし、一定の年齢に達したら給付するという考えもあります。

 わたしの考えは、一定の年齢に達するまでは保護者が管理することになるでしょうから、幼いうちは養育手当として保護者に給付して、一定の年齢に達したら、子どもに支給対象を変更し、初回はまとまった額を支給する、というのがよいのではないかと思います。

◆ 現金給付と現物給付 竹中平蔵氏のBI論

 社会保障には、大きく分けて現金給付と現物給付があります。

 ベーシック・インカムは、現金給付を一本化します。すなわち、年金、失業手当、生活保護、児童手当などは、BIに吸収されます。(現在の年金システムからBIにどのように移行するかは、難問ですが、、、)

 一方の、教育、医療、介護など、サービスやモノの現物給付は、BIとは別にしっかりと提供されねばなりません。BIで現物給付を肩代わりすることはできないのです。

 竹中平蔵氏のBI論は、危険なものを感じつつも、詳しくは知りません。しかし、もし医療費全額自己負担をセットにしているのなら、絶対に許すことはできません。

 竹中氏のBI論のせいで、BIが胡散くさい罠のように受け止められており、わたしに「BIの話は選挙を控えてしないほうがいい」と忠告した人もいます。

 わたしは、2008年からBIに関心をもってきました。そのずっと前からBIをまじめに研究してこられた方々もおられます。竹中氏の突然のBI論には迷惑しています。

◆ 井手英策教授のベーシックサービス

 こちらもまだ勉強できていません。

 ネットでいくつか検索した限りでは、現物給付を充実させる考えだと理解しました。BIは、現物給付がしっかりと行われていることが前提なので、BIとベーシックサービス(BS)とは、どちらかを選んでどちらかを捨てる二者択一の関係ではないと思います。

 ただ、人は現物給付だけでは生きていけず、健康で文化的な生活を営むためにはどうしても現金が必要です。BIがなければ、賃労働するか、申請と審査の必要な失業保険や生活保護などを受けるしかありません。BSだけなら、今とその点では変わらないことになります。

 それに対して、真のBIは、生きたい生き方を可能にしてくれる制度なので、わたしは期待しています。

◆ 財源

 井出教授は、財源として消費税を重視しておられるようです。この点、わたしの考えと異なります。

 手元にあるお金をどうするか、使い道には消費と貯蓄と投資があります。裕福な人は、貯蓄や投資にもお金を使うし、消費にしても娯楽にたくさん使うでしょう。しかし、所得の少ない人は、得たお金のほとんどすべてを生存のための消費に使わざるを得ません。つまり、消費税は、所得の少ない人にとっては、生きることそれ自体への課税なのです。

 消費税のみならず、教育に関わる負担や、さまざまな国民負担が庶民にばかり負わされていて、生活を苦しめています。庶民の負担を減らさねばなりません。

 内部留保を溜め込んでいる大企業への課税、所得税の累進性の強化、タックスヘイブンを巧妙に使って利益を国外に持ち出す外国資本への課税、トービン税(為替取引への低率課税)など、さまざまな徴税があり、消費税ではない方法で行うべきです。

 また、「歳入を基準にして歳出を縛るべきではない、インフレ率を財政規律の基準にすべきだ」という新しい財政の考え方も提案されています。インフレ率が高くなりすぎない範囲で財政出動をして国民生活を支えるべき、という考えです。

 財政規律の古い考え方が、もはや限界に達して、国民は苦しんでいるのですから、新しい発想で解決策を見つけねばなりません。

 いずれにせよ、BIは、意に沿わない賃労働や人間関係から離脱することを可能にするものでなければなりません。そうでないBIは、似非BIです。

 BIについては、最初に書いたものが一番網羅的ですので、ご一読いただければ幸甚です。

 またご意見お聞かせください。

2021,7,13     そが逸郎 立憲民主党長野5区総支部長