中国への姿勢について

S. I.さんより。(曽我からの返信はまだです。暫しご猶予を。)

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2020年10月10日

曽我 逸郎 様

現在66歳の私はこれまで一貫して左翼リベラルを自認し、半世紀にわたって社会党->民主党->立憲民主党を支持してきました。ところが3か月ほど前に中国で過去数十年行われてきた人権侵害の全貌を知り、中国共産党の本質を認識してから、従来の「右か左か」という図式が突如もはや意味をなさなくなりました。実際、今年7月23日のポンペオ演説を境に、アメリカも欧州も従来の関与政策を転換し、世界の構図も一変しています。

過去何十年にわたって繰り返されてきた中国共産党の途方もない人権侵害がようやく最近になって急速に世界の注目を集めています。

そのきっかけとなったのが香港。自由と民主主義を求める者はすべて沈黙を強いられ、圧殺さて、拘禁されています。多くの若者が国家の暴力で殺されました。心が痛みます。

同じ危機は日本の隣国、台湾にも迫っています。

欧米議会で非難決議が続出しているウイグルでの民族浄化。推定数百万人のウイグル人が収容所で拷問と洗脳教育を受け、あるいは強制奴隷労働に従事しており、しかも一部の日本企業はこの奴隷労働を利用しています。

120万人を虐殺されたチベットでも、新たに50万人の農民が「教育施設」への移動と工場労働を強制され、あるいは対インド戦線へ徴用されています。

内モンゴルでも民族の魂とも言うべき言語が禁止され、数千人が拘束されています。

そして何より、法輪功やウイグル人等の「良心囚人」が中国の国家産業ともいうべき臓器移植産業のために日々数十人ないし数百人が殺害されているという恐ろしい事実。

ナチスによるホロコーストを量・質ともに上回る規模でのこの国家犯罪に対して、米豪加やEUならびに欧州各国は議会で次々と譴責決議を突きつけています。アメリカではまもなく中国政府を多国籍犯罪組織と規定する法案が提出されます。

では日本は?

枝野党首はTwitterで香港国安法反対のメッセージを個人的に発信されましたが、民主主義の核心をなす人権問題で、なぜ立憲民主党は党として立場を明確にできないのでしょうか?政府与党内には二階幹事長や公明党のような媚中・親中勢力が幅をきかせていますが、立憲民主党は真っ向から中国共産党に対してNOと言えるはずです。人権を重視する政党として今こそNOと言わなければ、人権を語る資格すらなくなってしまいます。

大手マスメディアが一種の忖度で中国の人権問題にほとんど触れないため、国民の多くはこの問題に無関心ですが、逆に、であればこそ、政治家の方々には広い視野で将来を見据えながら国を導いてほしいのです。中国共産党が今ウイグルで、香港でしていることは、私たちが目をつぶっていれば私たちには無関係、というわけにはいかないからです。香港の今日は台湾の明日。尖閣のみならず、沖縄の独立工作や北海道等での土地買い占め、あるいはその他ありとあらゆる中国の対日浸透工作を見れば、日本にとって危機は決して遠い先の話ではありません。立憲民主党が政権を目指すのであれば、自由と民主主義の国々とともに中国共産党と対峙するのか、経団連や公明党に引きずられて中国融和政策を続けるのか、外交の基本姿勢を明確にしていただきたいと切に願います。

かつて55年体制が崩壊したときのように、今世界は大きな変動期にさしかかっています。旧来の左か右か、リベラルか保守かという枠組みを越えて、今問われているのは、人権・民主主義・自由・生命の尊厳という私たちの根本価値を守る側に立って「現代のナチス」、中国共産党に対峙するのか、それともそれに目を背けて目先の経済や身近な国内問題だけを扱えばよいと考えるのか、ということです。私自身は日の丸を仰ぎ見る愛国主義者ではありませんが、右寄りの人たちが愛国心から中国共産党と戦うならば、彼らとともに戦います。しかしリベラルの立憲民主党にこそ、人権と民主主義のために戦いの先陣を切ってもらいたいという思いがあります。

「国民の暮らし」も「学問の自由」も大切です。しかしそれ以前に、日本が中国の「静かなる侵略silent invasionを食い止め、香港のようにならない、ということが大前提です。なぜなら中国に支配されてしまえば、「国民の暮らし」も「学問の自由」も根底から崩れ去るからです。決して被害妄想ではありません。中国の言説ではなく、全方位での行動を注視すれば、習近平の「中国の夢」で世界制覇(地球の半分)を目論んでいることは明らかであり、だからこそそれに気づいたアメリカも、欧州の国々も中国とのPartnershipを打ち切り、「自由で開かれたインド太平洋」という中国包囲網にシフトしてきているのです。

立憲民主党が真に人権を重視し、「自由」の旗を掲げることを祈願してやみません。

S. I.