日米「同盟」の危険な一面

 一昨日(2021,5,24)の信濃毎日新聞4面に、大きくない記事があった。
 1958年の金門島砲撃事件の際の米軍の対応だ。中国に先制核攻撃することを要求し、「その場合、ソ連は核兵器を使って、ほぼ確実に台湾、場合によっては沖縄に報復する」と予想しつつ、「そうした報復も受け入れねばならない」と主張した、という。

 金門島は、中国本土の間近にあり、台湾が実効支配している。台湾に比べれば、ごく小さな島だ。そこに中国が砲撃したことをきっかけに、米軍は、たくさんの人が暮らす台湾と沖縄を、住民もろとも核戦争の犠牲にすることを「受け入れ」ようとしたのである。

 ずいぶん前に読んだ新聞記事を思いだした。
 冷戦時代の米国議会で、日本に米軍基地を置く意味が問われた際、いくつかの理由が挙げられたが、そのうちのひとつは、こういう趣旨だった。
 「核戦争となった場合、日本に米軍基地があれば、ソ連はそこも攻撃せざるを得ないので、米国本土への核攻撃を分散させ、薄めることができる。」

 米国にとっては、台湾も日本も、このような存在だということは、認識しておかなければならない。事と次第によっては、日本はおとりの標的として使われるのだ。そのための日米「同盟」深化なのかもしれない。米国は、きわめて冷徹に考えている。

 昔、中曽根首相は、米国に出かけた際、日本を「不沈空母」と語ったそうだ。確かに日本列島は沈まないだろう。人々の頭上で核ミサイルが何発さく裂しても、、、。
 米国は、軍事的にも台頭する中国を抑え込むために、日本などをさらに強力な「同盟」関係に引き込もうしている。日本は、よくよく検討して対応せねばならない。

 日米安保を即刻終了せよ、と言っているわけではない。
 米軍に依存しない独自の軍事抑止力を充実すべきだ、とも考えない。
 「米国に付き従ってさえいればよい」という思考停止はもうそろそろ卒業して、日本を含めて「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する」ことができるよう、本気の外交努力を開始すべきだと思う。

   2021年5月26日  #そが逸郎立憲民主党長野5区総支部長

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