「まっとうな政治」とは?

 「まっとうな政治」というのは、立憲民主党のキャッチ・フレーズです。
 わたしの考える「まっとうな政治」を切り口にして、このところの街頭演説をしています。こんな内容です。

 A:まず、国民負担のあり方をまっとうにする。
 B:そして、負担してもらった税金の使い方をまっとうにする。
 C:そのためにはどうすればいいか。

◆A 国民負担のあり方をまっとうにする。

※ A1 庶民の負担率は高すぎ。

 消費税が、昨年の秋、10%にされました。
 その一方で、実質賃金は長年にわたり下がっています(2019年は、1997年と比較するとマイナス10.5%。韓国はプラス57.8%)。先進国の実質賃金はどこも右肩上がりなのに、日本だけが異常です。

 <グラフは、雑誌『KOKKO』編集者の井上伸さんのツイッター(井上伸@雑誌KOKKO @inoueshin0)より>
 また、医療や年金などの保険料、社会保障負担額も大変重いというのが実感でしょう。
 その結果、日々の暮らしのやり繰りに追われて、未来のためにお金を使うゆとりがなくなっています。子どもの運動靴が傷んでも、すぐに買い換えて上げられない家庭が増えています。
 株価ばかり高値に誘導されていますが、国民の購買力が落ちて、内需が冷え込み、日本経済は低迷しています。
 庶民の負担を下げて、稼いだお金を自分たちの未来のために使えるゆとりを国民にもたらさねばなりません。国民がはつらつと未来に向けて生きてこそ、活力も創造性も生まれるのです。

※ A2 税金は、消費税ではなく、とるべきところから

 3%で始まった消費税が10%になり、消費税からの税収は大幅に増えました。しかし、大企業からの法人税は、その分だけ減らされています。
 株などで儲けた利益は、税率の低い分離課税にされ、高所得者は累進課税を免れています。
 外国資本が日本で上げた利益の多くも、巧妙に外国のタックス・ヘイブンに持ち出されて、日本の税収になっていません。
 こういった、とるべきところにきっちりと課税しなければなりません。

◆B 税金の使い方をまっとうにする。

※ B1 税金の不正な使用をやめる。

 安倍政権では、森友・加計学園事件のような、税金のヨコナガシ・ネコババが繰り返されてきました。
 トランプ大統領のご機嫌をとるために、欠陥戦闘機や売り先に困った遺伝子組み換えトウモロコシを爆買いしています。イージス・アショアの導入が取りやめになったのはよいことですが、購入ありきで十分な検討がなされていなかったため、莫大な費用が無駄になりました。
 このような不正や浪費は、許してはなりません。

※ B2 国民の暮らしを支えることに税金は使う。

 高福祉高負担と言われる国々のように、負担が高くても、それが国民の暮らしに戻っていれば問題はありません。
 しかし、今回の新型コロナは、日本の医療体制が実は大変脆弱であったことを暴露しました。PCR検査や重症患者受け入れ態勢の整備は、遅々として進みません。コロナ対応に頑張った病院ほど経営難に陥り、看護師さんのボーナスもカットされるようなあり様です。自粛を強要するばかりで、補償は後手後手、その補償からもナカヌキが行われています。
 税金が、国民のためではなく、安倍政権のオトモダチのための集金装置になっていると感じます。

 こんな状況を改めて、税金は国民の暮らしを支えることに使わねばなりません。
 医療体制を充実させます。特に合理的で有効なコロナ対策は喫緊の課題です。
 福祉の最前線で働く人たちの待遇も底上げせねばなりません。
 学生がアルバイトや教育ローン返済に追われることのないよう、教育予算の拡充も必要です。
 異常気象が頻発する中、自然災害への備えも見直さねばなりません。

 国民の負担を減らし、暮らしを支えることに税金を使って、誰もが未来に向けてのびのびはつらつと歩んでいけるようにしましょう。
 それによって、活力と想像力が生まれ、内需が高まり、実感できる景気の回復が実現できます。

◎ 財政問題に今、縛られるべきではない。

 上記のような主張をすると、赤字財政の中、財源はどうするのか、という批判がありそうです。「ハイパーインフレが起きて、大変なことになるぞ」と。
 確かに、自民党政権は、財政赤字を口実にして、福祉を削ってきました。しかし、その一方で、自分たちの利益につながる歳出には、財政赤字を気にかけていません。
 巨額の赤字を積み上げ、かつまた、日本銀行がインフレ目標2%達成のためにあらゆる手を尽くしたのに、インフレ率は少しも上がりませんでした。
 歳入で歳出を縛ろうとするのではなく、インフレ率を新たな財政規律の基準にすべきだとの考えも生まれています(MMT・現代貨幣理論)。さらに累積された財政赤字もなくしていけるとする公共貨幣という新しい提案もあります。<拙HP https://bit.ly/3g9hw0w を参照ください。>
 これまでの安倍政権の愚策の上に、新型コロナウイルスが重なって、今、支援を必要とする人が大幅に増えています。この状況で、拱手傍観は許されません。財政赤字を恐れず、しっかりと手を打つべきです。

◆C 国民負担のあり方と税金の使い方をまっとうにするには、どうすればよいか。

※ みんなで投票に行って、利権の政治を希釈する。

 今、多くの人が選挙に行かなくなっています。「政治は汚い。煩わしい。政治を変えても暮らしはよくならない。選挙はうざい。」そんなふうに感じているのでしょう。しかし、それは、そのように誘導され、そう思い込まされているのです。

 他方、世の中には選挙や政治に大変熱心な人たちもいます。その人たちは、政治を利権のためと捉えているのです。
 「自分たちの息のかかった政治家をたくさん国会に送り込めば、口利きだけでなく、自分たちに有利な法律や制度をつくらせることができる。それによるウマミは、多少の政治献金よりはるかに大きい。組織を上げて応援しよう。」
 そんな選挙の結果として、消費税は上げられ、大企業の法人税は下げられました。
 労働者派遣法ができて、非正規雇用が増え、実質賃金が下がっているのも、背景にあるのは、その人たちの思惑です。終身雇用を廃して、都合のいい人材を欲しい時だけ安く雇って、用が済めばすぐに解雇できるようにしたかったからです。少子化の根本原因も、非正規雇用で先の見通しを持てないまま安い給料で働くしかない若者が増えたことにあります。
 一部の、選挙に熱心な人たちの利権を実現するために、選挙に行かない人たちがしわ寄せを背負わせされているのです。

 ですから、この状況を改めるには、選挙に行くしかありません。自分たちと家族や子どもや孫たちのため、どういう国民負担がいいのか、税金をどう使うべきか、のびのびと暮らすためにはどうであればいいのか、それを考えて、投票をしましょう。そうすれば、利権のための選挙を希釈し、みんなのための政治を実現することができます。

 投票率を上げさえすればいいのです。案外たやすく、すみやかに、日本の政治をまっとうにすることができます。

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2020年7月28日     立憲民主党長野県第5区総支部長 そが逸郎

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新型コロナウイルス 経済対策

 表題の件、なんとかせねばならんといろいろ考えた試行錯誤を、メールニュースで発信しました。ここにも掲出します。

◆ そが逸郎通信 第9号 3/22

 <新型コロナへの緊急経済対策として国民に現金給付するのは間違い>

 新型コロナウイルスによる経済的打撃が広がっています。それに対する緊急経済対策として、自民党は国民への現金給付を検討している、との報を耳にしました。
 これは間違った施策です。

 国民への一律の現金給付は、新型コロナウイルスの影響に苦しんでいる人たちの救いにはなりません。一番困っているのは、旅館などの観光業、飲食店、映画館やコンサートなど人を集めて楽しませる商売です。そこに客足が途絶えてしまったのは、客にお金がないからではありません。病気に罹るのが心配だからです。また、工場の生産ラインが止まってしまった原因は、部品の供給が滞っているからです。したがって、国民に現金を給付しても、客足や部品供給は回復せず、資金繰りの行き詰った人たちを救うことにはなりません。

 国民全体への現金給付ではなく、これらの、新型コロナの影響で本当に困っている人たちに的を絞って対策をとるべきです。大企業の救済は無用。中小零細、個人事業主を対象にして、例えば、簡便・迅速な繋ぎ資金の融資でまずは急場をしのげるようにした上で、昨年(または過去数年)の同時期の売り上げ・利益と今年の実績を比較して、減少分の一定割合を現金給付するといった方策はどうでしょうか。
 個別にはさまざまなケースがあるでしょうから、きめ細かく設計せねばなりませんが、ともあれ、ながらくビジネスを続けてきた人たちが、一時の流行り病のために廃業に追い込まれるなら、経営者や労働者といった当事者のみならず、消費者にとっても大きな損失です。そうならないように、実効性のある対策をとらねばなりません。

 苦しんでいる人たちの救済にはならないのに、自民党は、国民一般への現金給付を新型コロナウイルス対策としてやろうとしています。これは、新型コロナウイルスを口実にして、国民の歓心を買おうとしているのだと思います。選挙にむけた思惑でしょう。極めて大規模な買収行為です。しかも、税金を使った…。福祉を削る時には財政赤字を喧伝するのに、自分たちの選挙のためには、的外れで効果のない(選挙対策にはなる)税金の無駄遣いをするのです。

 今、新型コロナウイルスに悪乗りをして、わざと物議をかもすような施策を打ち出し、やっている風を装う政治家が湧いています。不合理・的外れな思い付きですが、それを指摘・批判されると、「やる気のない評論家はでしゃばるな」と威圧します。自民党が検討している国民への現金給付も、その類だと考えます。

 以上が今回の『そが逸郎通信』の主題です。

 ところで、国民への現金給付と言えば、ベーシック・インカム(BI)もそうです。実はわたしは、BIに大いに期待しています。今の逼塞状態を打開してくれるかもしれないと考えるからです。自民党が検討するコロナ緊急経済対策とBIとの違いについても論じておきましょう。

 BIというのは、条件をつけずにすべての個人に健康で文化的な生活に必要な現金を一律に給付するという考えです。BIの場合は、永続的定期的に現金給付するのに対して、自民党の緊急経済対策は、一回限りの単発です。BIは、一時的な今の救済だけではなく、将来にわたる見通しと安心感をもたらします。それによって、人は、自分はどう生きたいのか、じっくりと考えることが可能になります。贅沢をあきらめれば、自分らしい生きたい生き方を可能にするのがBIです。生存のために意に沿わぬ仕事に縛られることはなくなります。人の嫌がる仕事の対価は、必然的に上がることになるでしょう。勿論、贅沢な生き方をしたければ、BIを受給しながらしっかりと稼ぐことも可能です。
 一時的な「緊急」経済対策とは違い、BIは、人々の人生観、ひいては文明のあり方さえ変える、根底からの変革なのです。

 降ってわいた新型コロナウイルスのずっと前から、日本社会・日本経済は長期的・構造的な問題に陥っていました。
 昨年10~12月の実質GDP成長率は、消費税増税によって、年率にするとマイナス7.1%という惨憺たる結果になっていました。消費増税の大失敗をコロナウイルスが攪拌隠ぺいしたといえます。
 そもそもそれ以前から、株価ばかりが吊り上げられ、「穏やかな景気拡大」と喧伝されながら、実質賃金はマイナス、国民の購買力は失われて内需はやせ細っていました。非正規雇用が当たり前になり、年金もあてにできず(麻生氏の2000万円発言)、将来が見通せない若者は結婚など自分事とは思えない状況に置かれ、その結果、少子化はますます進み、人口減少によって経済は一層縮小するという悪循環に陥っています。これは、ひょっとすると資本主義経済制度の行き詰まりであり、人類の文明史な隘路に一番先に踏み込んでいるのかもしれません。

 これを脱却して、文明史の次の時代を拓く可能性があるのがBIです。人々の人生観・労働観も一変させる根本的な変革になります。それだけに、拙速に実行すればどのような副作用があるか分からず、慎重な制度設計が必要です。(不十分な金額のBIを口実に生存が保障されたとして、福利厚生や福祉、セーフティネットをなくすことを目論む輩もいます。)

 わたしは、自民党が検討している新型コロナ対策緊急経済対策の現金給付に反対し、BIの可能性には、期待しています。

 (BIについては、『ベーシック・インカムは妙案かも』http://mujou-muga-engi.com/b-income/ をご覧ください。)

2020年3月22日 立憲民主党長野県第5区総支部長 そが逸郎

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◆ そが逸郎通信 第11号 3/27

 <新型コロナに対応する生活保障私案 政府通貨+ベーシックインカム的現金給付>

 前々9号(3/22)の新型コロナウイルス緊急経済対策に対する考えに、3通ほど返信を頂きました。どれも賛同のメールでしたが、同時に非正規雇用の皆さんを心配する言葉もありました。

 わたし自身、9号を発信した後、考えが不十分だったと反省していました。事業継続だけを念頭にして、雇い止めされた非正規雇用の方や、不幸にして事業をたたまねばならなくなった経営者やその被雇用者の方々の暮らしをどう支えるか、考えを巡らせていなかったのです。

 今回の大規模な経済縮退に対応する生活支援を、煩雑な手続きの間を置かず迅速に実行するには、条件をつけない国民一律の現金給付は、有効な方法かもしれません。
 折しも、アメリカ上院では昨日、大人一人に1200ドル(≒15万円)、子供には500ドルの現金給付を可決した、との報道があります。
 年収7万5000ドル以下という条件があるようですが、そういった条件の審査に時間がとられるなら、無条件にしてもいいでしょう。コロナ禍が収まった後、とるべきところからその分の税金を集めればよいのです。すべての個人に等しく給付して、とるべきところから税金を徴収するというベーシックインカムの考え方です。

 MMT(現代貨幣理論)の考えからすれば、コロナ対策給付を後から税金で回収する必要も、必ずしもないのかもしれません。また、もし国債を積み上げることの悪影響が危惧されるなら、思い切って政府通貨を必要額発行することも検討できるでしょう。
 (政府が国債を発行して日銀から日本銀行券を利子付きで借り受けるのではなく、政府みずからが通貨を発行するのが政府通貨。現行の日本のお金は、お札は日銀券だが、硬貨は政府通貨。政府通貨の素材や額について縛りはない。政府通貨を発行しても、だれかに返す必要はないし、当然金利も発生しない。)

 勿論、現金給付であれ、実行するにはクリアすべきさまざまな課題があります。窓口で現金を渡すのか、口座に振り込むのか、口座番号の登録をどうするか、住民票のある役場に行かねばならないのか、対象者は日本国籍に限定せず住民票のある人全員にすることでいいいか、などなど。
 しかし、これらはどんな支援策でも工夫して対処しなければいけないことです。やらない理由にはできません。

 今回のコロナ禍からなんとしても暮らしを守らねばなりません。そして、そのために智慧を絞った結果として、コロナ禍以前から現れていた現代資本主義経済システムの行き詰まりを克服する新たな仕組みのヒントが見つからるなら、災い転じて福となる、です。

 (MMT、政府通貨(≒公共貨幣)については、拙ブログ https://itsuro-soga.com/2019/12/21/ を参照ください。)

2020年3月27日 立憲民主党長野県第5区総支部長 そが逸郎

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